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デンマークに来ています 観察日記番外編

自由の森学園観察日記 番外編

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ピースボートという船で、デンマークに来ています。
昨日はデンマーク教育の象徴的な学校である、
フォルケ・ホイスコーレと呼ばれる学校を訪ねてきました。

わたしの訪ねたのは英語で授業が行われている、
IPC、International People college という学校。
ここはフォルケ・ホイスコレーレのなかでも、海外からの学生を広く受け入れている学校で、
英語レベルがそれほど高くない生徒でも授業が受けられるようにという配慮がなされています。

フォルケ・ホイスコーレは、通常デンマーク語で授業がなされているそうで、
それは自国の言語を守り、多数による力に暴挙が行われることへの異議の意味もあるとか。
以前から北欧の教育について興味があったので、この学校を訪ねる日を心待ちにしていました。

コペンハーゲンの市内からバスに乗って一時間。
バスを降りて学校の敷地内に入っておもいました。
自由の森みたいな学校だなあと。

夏に入ったばかりのコペンハーゲンは緑が美しく、
昨日はお天気がよかったこともあるのですが、緑にあふれ敷地内にゆったりと建つ校舎。
ラフな服装の先生たちに、ゆったりと自分のペースで学ぶ生徒たち。
校舎のなかには、あたたかみのある色彩のソファとテーブル。
家庭的なぬくもりのある食堂。
生徒が自由に使えるキッチン、冷蔵庫。
外出するときに自由に使える自転車と、自転車専用の部屋。
広い庭には池、芝生、ミツバチの巣箱。
豪華ではないけれど、ひとの暮らす空間としてのリラックスした雰囲気が印象的でした。

現在在籍している生徒は70名。
25カ国から集まっている学生たちは全員寮生活を送っており、
自分と違う人を知ることで自分を知り、お互いを知ることが平和に繋がるということを
わたしたちを案内し、学校についてレクチャーをして下さった校長先生がおっしゃっていました。

スタッフも様々な国籍のひとたちが集まっていて、
フランス、ウクライナ、デンマーク、南アメリカ、メキシコ、フィリピン等々
すべてがグローバルな考え方に基づいているとのこと。

授業は世界の政治、文化、環境、経済から、地域的な文化やニュースまで
多岐にわたっているそうで、週に30時間、28時間を取ることが必須。
フォルケは民衆という意味で、牧師であり詩人であり哲学者でもあるグルントヴィは
デンマーク教育の父と呼ばれているそうです。

フォルケ・ホイスコーレの始まりは、民主主義の環境を整えるという理念。
人は誰でも学びたいはず、悪いモチベーションを取り除き、
良いモチベーションの学校を造る、とこれは校長先生のことばです。

入学試験がなく、国籍不問、入学資格は18歳以上であることのみ。
デンマーク人、外国人に限らず、期間は数ヶ月。
私立学校でありながら運営費の3分の2をデンマーク政府が出し、
デンマークに100校、ヨーロッパにも同じような学校が400校あるそうです。

校長先生がお話してくださった、

対話形式で授業をすること
生徒と教師の距離が近いこと
ことばがだいじ、発言がだいじ
「あなたはどう思うか」という質問をだいじにしている
生徒は多くのことを知っている、教師が勝っているわけではないという考え方
自分自身をみつめることの大切さ
どうすれば自分の幸福が創れるのかをかんがえることが大切
人生をどう送るかということへの答えをさがす
自分とは異なるひとたちと共に暮らし学ぶためのスキルを学ぶ

この学校でだいじにしていることのお話は、
どれもこれもうなづくことばかりでした。

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校長先生はスカイブルーの麻のシャツにジーパン姿。
始終笑顔でお話をしてくださったのですが、
なんと校長先生は音楽の先生。
毎朝の集まりのときには、校長先生の伴奏で歌を歌うのだそうです。
ここでまたまた自由の森の合唱を思い浮かべました。

校長先生曰く、

歌うことはフォルケ・ホイスコーレの柱のひとつ
笑顔が出てくるからみんなが仲良くなり、一体感が生まれる
ここが自分の居場所だと感じることができる
音楽でコミュニケーションを取ることは、頭ではなく心を通っていく

提唱者のグルントヴィはたくさんの歌を書き残していて
それは「ブルーソングブック」として歌い継がれてきたのだそうです。

たくさんのお話を聞いたのですが、
もっとも心に残っているのは、
平和のイニシアチブを、ということばでした。

1844年、ドイツとの戦争があったころ、
初めてのフォルケ・ホイスコーレをドイツとの国境にできたのだそうです。
デンマークのアイデンティティについて考え、
若い人が民主主義に参加できるようにという願いがこの学校を作ったという話には
この教育を生み、育て、守ってきたひとたちの精神の高さを感じました。

ほかにも校長先生はフォルケ・ホイスコーレの委員会への立候補で決められ、
前回の選挙は260人の立候補があったとか。

デンマークとは歴史も民族性も価値観も精神性も違っている日本の教育を、
どうしていったらいいのか、ということを
自由の森学園と大きく重ねながら考えた一日でした。




そうそう、もうすぐ高校3年生は修学旅行ですね。
うちの二人目の自森生である娘も、とうとう最終学年です。

入学したときには、6年後のことなんて想像も出来なかったけれど
今はひたすら自由の森に関われたこと、そこでの出会いに感謝し、
ここをはじまりにして、教育のことを考えつづけていけたらなあとおもっています。



山田未来穂

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